唐時代は中国仏教の最盛期で、智徳兼備の高僧方が多いです。 禅系で代表的な人物は中でも目立つ存在が馬祖禅師。
牛のように歩き虎のごとく視る、容貌は奇異という。
当時、絶世の大宗師として大勢の修行者が参じました。
強烈な霊的パワーを浴びたかのように、多くの優れた大悟徹底の弟子方が生まれました。 これは水りょう和尚の例です。
水りょう和尚がはるばる来たって馬祖禅師に問う「仏法最上第一義とはなんでしょうか」。 馬祖いわく「礼拝しなさい」。
水りょう和尚は礼拝した。すると馬祖禅師は礼拝する水りょう和尚に足蹴りを食らわした。 その瞬間、水りょう和尚は
大悟した。
起き上がって水りょう和尚は歓喜して可々大笑していう「なんとふしぎ! 毛筋一本が無量の妙義を説いている!」。
馬祖禅師に出会った縁によって、水りょう和尚は長年求めていた仏法第一の秘義を会得することが出来た。
感謝し礼拝して退去した。 後に寺に住して修行僧を育てたが、常に衆僧に言った言葉がある。
「かって馬祖禅師に足蹴りを頂いて以来、わしは笑いがとまらんよ」。
**蹴られて大喜びするとは変な話ですが、馬祖禅師の言葉と行為一つ一つが後世の参禅者にとって指針になっています。
求道者は学ぶにつれて懊悩がふくらむが千載一遇の機縁に恵まれて、一気に解決したという幸せ者のお話です。