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「僕は偽薬を売ることにした」
国書刊行会・水口直樹著(サンケイ・令和1)。 著者の水口氏は京大大学院卒。製薬会社に入社。その後独立して現在はブラセボ製薬株式会社代表。 商品として偽薬をあつかうという。 見た目は薬だが薬効成分が入っていない代物である。
これは介護施設において、何度も薬をほしがる認知症の高齢者にわたされる。 高齢者の気分が落ち着き、薬効成分が入っていないので副作用の心配がないという。 偽薬によって何らかの改善がみられる「ブラセボ効果」は知られていることである。。
医療の場では患者の説明と同意(インフォームドコンセント)が求められるので、偽薬の使用は難しい。 それが最近、過敏性大腸炎やうつなどで偽薬と知って飲んでも、改善がみられるという研究が報告された。 水口氏「医療の場で使用できれば、副作用が減り医療費の抑制になります」。▲
付記:本物を知った上で、時に応じて仮のものも使いこなすのは、興味深いところです。 作り物のドラマもアニメも、本気で泣いたり笑ったり元気をもらったりします。 宗教を「ブラセボ効果」だと評価するむきもあるかも。