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羊飼いの少年、インドの昔話
インドの田舎のある少年は、仙人になりたいという夢がありました。 母親は「厳しい修行を何十年もするんだよ。 仙人なんてなれるわけない」と大反対。 それでも彼は決してあきらめないので、母もついに折れて、彼は仙人の住むという山にむかった。 山中深く突き進み、仙人の長老についに会うことができた。 長老はひと目で少年の真剣さを知り、弟子入りを許した。 日常の食事は果物・木の実・野草等といった自然のもの。 集中法・呼吸法・静座・滝行等々の厳しい日々が続いた。
ある日、長老が少年に尋ねた。「おまえの一番に好きなものは何や」。 「はい、子羊のポーです」。 「そうかい。 ではこれからはその子羊のことを、ずっと念じ続けなさい。 強く念じて子羊と一体になるのや」。 大好きな子羊のことなので、少年は喜んで瞑想のときも歩くときもポーのことを念じ続けた。 数年が過ぎたころには、少年はもはや自分がポーになり切ったかのようである。 様子をずっと観察していた長老はある日、少年を呼んだ。 仙人は少年の目を見据え、やにわに少年の頭の上に手をのせた。 その瞬間、少年の全身に衝撃が走った。 しばらくして我に返ってみると、なんと全てが新しい世界! 自分の体はまるで羽のように軽く、喜びが全身を突き抜けた。 仙人「よしよし、よう辛抱した。 だがまだこれは初歩や。 これからもさらに継続すれば、空に自由に飛べるようになる」と初級の許しが出た。 その後、彼はひたすら修行を続け、飛行三昧を修め、無垢三昧を体得した。▲