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15,知者
後藤新平(1858~1929)
「今日、我々の安楽というものは、祖先の努力の余慶である。 ゆえに明日の我々の子孫の幸福は、今日の我々の犠牲と努力にまたねばならぬ。 (政治の倫理化)」サンケイ新聞▲
**余慶‥‥大きな喜び。
付記:明治の人の考えは、「今の幸福は先人の犠牲によるのだから、我々も命がけで子孫のために身を捧げるほどの努力をするのが、当然である」という。 昔の人は恩に報いる心が強い。 今は豊かなためか「恩に報いる」という心は消えそう?
「国のために戦う」とか言えばマズイらしい。 ライオンと闘う武井壮氏「日本が戦争になったら、自分は外国に行く」。 映画監督の井筒和幸氏「戦争になったら皆さん、白旗あげて降参しましょう」。 小林秀雄(評論の神さま)は戦争になったら「私は一兵士として銃を持つ」。 かっては文化人にもかような発言をする人がありました。
繊維工芸機構の理事長・安嶋久氏の話(平成29)
「今の風潮は勤勉を軽視して、個人の幸福追求の権利の声が大きい。 世間は大衆の欲望に寛大であるが、無責任な政権批判は盛んである。 百年ほど前にニーチェが『未来人は何でも知っている。そして何でも笑いものにする』と現代を見透かすようなことを言っている。 後にニーチェの言葉を受けてマックスウエーバーがいう『この未来人は心情のない享楽人であり、
中味がなく、自ら到達点にいると思い込んでいる。』」▲
付記:平等で自由ですから、だれもが❝到達点にいる❞と思い込みやすい。
池田晶子女史(哲学)
「中味もないのに有名になりたがる。 評価してほしがる」。
朝永振一郎
「現代人はどうでもいいことをたくさん知って、大切な根本的な識見がない。 間食ばかり摂って栄養ある主食を欠かすようなものだ」。